アトピー性皮膚炎の治療、薬について




ご訪問ありがとうございます。

今回は、私の妻も毎日痒みと戦っているアトピー性皮膚炎の基本的な治療ついて書きます。

妻は夏になると特に症状が酷くなってしまい、頭皮まで湿疹がで出て痒くなってしまい大変辛そうです^_^;

速く新薬が発売されて欲しいところです。

 

アトピー性皮膚炎とは?

湿疹と痒みを何度も繰り返し、慢性化することが多い疾患です。

基本は自己免疫が過剰に反応する体質があります。それは皮膚のバリアが低下したり、日常生活でのストレスや疲れなどが重なって免疫反応が不安定になってしまい余計に症状が出てしまいます。

アトピー性皮膚炎の重症度は4段階に分けられており、重症度を決めるのに以下の方法があります。

体表面積に対する皮疹の占める割合で決める方法

  • 30%以上を占めている場合を最重症
  • 10~30%以下を重症
  • 10%以下を中等症
  • 軽度の皮疹だけのものを軽症

皮疹の程度によって決める方法

  • 高度の腫れや浮腫が広がったり苔癬化した赤い発疹や多発した丘疹、高度の鱗屑、水疱やびらん、多くの掻き壊しや、痒みの伴う結節がある場合を重症
  • 中程度の赤い発疹や丘疹、鱗屑、掻き壊しなどがある場合を中等症
  • 皮膚の乾燥や軽度の赤い発疹や鱗屑などがある場合を軽症
  • 炎症症状の少ない乾燥症状の場合を軽微

また、皮膚細胞で産生しているTARCというタンパク質を測定して重症度を判定する試薬もあり、約20分くらいで判定できます。

ステロイド外用薬やプロトピック軟膏を中心に抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を絡めて治療

現在のアトピー性皮膚炎の治療の中心は副腎皮質ステロイド外用薬です。ステロイド外用薬は皮膚の重症度の軽微を除いて、ほとんど全ての患者さんに使われることになります。ステロイド外用薬は強さが5段階で評価されており、その使い分けが大切です。基本的に効果と副作用の程度には相関性がありますので、重症度を参考に症状に応じて変更していくことで副作用が軽減されます。

基本的に、増悪時には1日2回使用し、皮疹が良くなってきたら1日1回の使用に切り替えていきます。

ステロイド外用薬の使用は次のような方法があります。

  • 単純塗布法
    薄く塗り込む方法で、一番よく行われているものです。1日2~3回使用するのが一般的です
  • 密封法/ODT(密封包帯法)
    掻きむしりを防ぐ為に軟膏を使用した後ラップ薬をかぶせます。これは同時にステロイド外用薬の吸収を増加させるメリットがありますが、夏には汗や汚れが溜ってにおいがしたり、細菌感染の注意が必要です
  • 貼付法
    ODTに使用するラップ薬にステロイド薬が含有されているもので、使用も簡単です。ただし、ODTと同じデメリットと、それ自体が皮膚を刺激して皮膚炎を起こすことがあるので注意が必要です
  • 重層法
    ステロイドを塗布した後にガーゼなどに亜鉛華軟膏を塗ったものを重ねます。これは亜鉛華軟膏の局所保護作用を期待したもので、症状が酷いときや急性憎悪したときに用いられます。顏に使用するときは、長期に使用すると緑内障や白内障を生じたり悪化させることがあるので注意する必要があります。使用回数は1日2回で朝と夜のしようが基本となります

 

ステロイド外用薬の部位別吸収率について
腕を1とした場合、後頭部3.5、額6、頬13、腋窩(わきの下)3.6、背中1.7

症状が中程度以下ではステロイド外用薬より副作用の少ないプロトピック軟膏の使用も考える

プロトピック軟膏(タクロリムス水和物)は免疫抑制作用をもつ薬剤でアトピー性皮膚炎の治療に使用されます。この薬剤はタクロリムス結合タンパク質と結合することで免疫を活性化するシグナルを遮断し、T細胞の活性化が抑えられることで免疫反応を抑えます。効果としては、ステロイド外用薬のstrongと同じくらいです。重症度が中等症から軽症の患者さんへの適応となっており、顔や首にでる炎症に効果的です。

この薬剤の最大のメリットは、ステロイド外用薬と違いホルモン作用がないため、ステロイドの副作用がないのと、中止後のリバウンドの心配もなく、ステロイド外用薬でよく問題となる皮膚萎縮の心配もほとんどありません。

プロトピック軟膏の副作用について

この薬は、使い始めによくみられるのがヒリヒリ感、ほてり、痒み等です。通常はそのまま使用しているとそれらの症状は自然になくなることが多いです。

成人の場合は体重10kgあたり1回1g以内、1日2回までまでとなっています。これは皮膚癌やリンパ腫の発生を心配する意見に配慮したものです。そして注意点としては日光照射です。日常生活程度の日光照射は問題ないのですが、海水浴、山登り、遠足、スキーなどで強く日光を浴びる様な日はその日の朝はプロトピック軟膏の使用は控えるようにしましょう。

小児の適応について

2歳以上のお子様に用いる濃度の薄い製剤(成人0.1%、小児0.03%)もあります。用法は成人と同じ内容となっています。

 

16歳以上の最重症の方にはネオーラルが適応される。3ヶ月以内で休薬する

免疫抑制剤のネオーラル(シクロスポリン)が2008年よりアトピー性皮膚炎の治療に保険適用となりました。対象となる患者さんは16歳以上で既存の治療では改善しない最重症患者となっています。

通常は1日量3mg/kgを1日2回に分けて服用します。ただし症状によって5mg/kgまで増量できます。

使用に際して以下のポイントがあります。

  1. 間欠的に使用する
    服用して症状が良くなってきたら服用を中止して外用薬を中心にした治療に切り換え、再び悪化したら再開する
  2. 8週間使用しても効果がないときは服用を中止する
    1回の治療は12週間(3ヶ月)以内とする
  3. 定期的な検査や血液検査をする
    血圧、ビリルビン、クレアチニン、脂質、シクロスポリン血中濃度など

 

補助薬として痒みに対して経口抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬が併用される

アトピー性皮膚炎は痒みが強い疾患です。そのため掻きすぎてしまことで症状が悪化するため、抗ヒスタミン作用や抗アレルギー作用を持つ内服薬が併用されることが多いです。眠気や倦怠感を考慮して、非鎮静性または軽度鎮静性の第二世代抗ヒスタミン薬を第一選択薬として使用することが推奨されています。

  • 非鎮静性(眠気が少ない)
    アレグラ、アレジオン、アレロック、タリオン、ザイザル、エバステル、クラリチンなど
  • 軽度鎮静性(少し眠たくなりやすい)
    アゼプチン、ゼスラン、ニポラジン、ジルテック

漢方薬は他剤との併用で用いられることもあります。良く併用されるものとして、小柴胡湯、十味敗毒湯、柴胡清肝湯、消風散、柴朴湯、補中益気湯などです。

また、皮膚のバリア機能を補うために保湿剤(ヒルドイドなど)を1日2回用いることが多いです。特にお風呂上がりは5分以内に使用することで保湿効果が良くなります

 

以上、アトピー性皮膚炎の治療についてまとめてみました。早くアトピー性皮膚炎が普通の風邪の様に治療ができる日が来ますように。









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おじさんが自由気ままに(ほんと気ままですみませんw)、日々の見つけたことを書き綴っています。グルメ記事がメインですが、お役に立ちそうな事があればそのことも書いていきますので、参考になればと思います。