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思春期になると顔にブツブツとニキビが出て、煩わしいが「青春のシンボル」と勝手に思って病気ではないという認識から、真剣に治療を行わない人も多いのではないでしょうか?
ピークも12~18歳で、それを過ぎると症状が軽くなるか出なくなります。
しかし、ニキビはホルモンが関係しており、皮膚の毛嚢脂質腺に炎症が生じる皮膚病の一種なのです!
そこで、今回は尋常性痤瘡(ニキビ)の治療について簡単にまとめてみます。
目次
尋常性痤瘡(ニキビ)の原因は男性ホルモンとアクネ桿菌
思春期にはホルモンの影響が大きく、特に男性ホルモンなどの働きによって皮脂腺からの皮脂の分泌が増加してしまい、毛穴の出口が硬くなり、そこに皮脂のかすがたまってブツブツができます。この状態を面皰(めんぽう)と呼びます。
面皰には毛穴が閉じている閉鎖面皰と、毛穴が開いてメラニンなどにより黒く見える開放面皰があります。そして面皰形成には、男性ホルモンだけではなくアクネ桿菌も関与しているのです。
この状態にアクネ桿菌が増えると、好中球から活性酸素が放出されて炎症が生じると赤いブツブツ(紅色丘疹)ができ、さらに膿を持ったブツブツ(膿疱)へと変化していきます。
そしてさらに炎症が進むと、毛包が大きくなってその壁が破壊されて結節となり、治癒するとそれがニキビ跡(瘢痕)となっていきます。
女性の場合も、もちろん男性ホルモンが体内に存在しているのですが、女性ホルモンの分泌低下などのホルモンバランスの乱れが関係しています。生理前にニキビが悪化する事があります。
これは、体内では菌に抵抗する抗菌物質を作り出しているのですが、女性ホルモンの減少により男性ホルモンの分泌が増えることでこの物質が減少してしまい、そのことでアクネ桿菌に対する抗菌作用が弱くなり、ニキビが悪化するということが分かっています。
- 男性ホルモン分泌→皮脂分泌亢進→皮膚の角化→面皰→紅色丘疹(赤ニキビ)→膿疱→結節→瘢痕
薬物療法には外用薬と内服薬があるが、第一選択薬の基本は外用薬のディフェリンゲル
ニキビの診断は4段階に評価されます。
- 軽症・・・片顔にニキビが5個以下
- 中等症・・・片顔にニキビが6個以上20個以下
- 重症・・・片顔にニキビが21個以上50個以下
- 最重症・・・片顔にニキビが51個以上
ニキビの治療法は、
- 薬物療法・・・外用薬、内服薬、注射
- レーザー療法・・・炭酸ガス、ロングペルスYAG、フラクショナルCO2
- ピーリング療法・・・ケミカルピーリング(サリチル酸、アルファヒドロキシ酸)
- イオン導入療法・・・微弱電流とビタミンC
- 光療法・・・LEDによる殺菌と治癒力増強
- 面皰圧出療法・・・アクネプッシャーという器具で詰まったものを押し出す
- 生活療法・・・洗顔、睡眠、食事、スキンケア
といろいろな方法があります。いずれも、毛穴に詰まった脂とアクネ桿菌を減らすということを目的にしたものです。しかし、最も効果的で手軽な治療は薬物療法といえます。
薬物療法には外用薬を用いる局所療法と内服薬を用いる内服療法があり、炎症のひどい場合は両者を組み合わせて治療が行われます。重症度によって用いられる薬は違ってきますが、基本的にはディフェリンゲル(アダパレン)が中心となって処方が組み立てられます。
早期にディフェリンゲルを開始し、症状が軽快後も再発予防のために使用する
ディフェリンゲルはレチノイド誘導体で、表皮細胞の核内にあるレチノイド酸受容体と結合して遺伝子転写を促進させることでタンパク質合成を変化させることで、表皮角化細胞の分化を抑制します。軽症から重症患者さんに使用されています。
基本的な使い方は、洗顔後に寝る前1日1回使用します。3ヶ月使用して効果がないときは中止します。
塗り始めて2週間くらいは痒み、乾燥、皮がむけるといった症状が出ることがありますが、軽症ならそのまま続けている内にそのような症状は消える事が多いので、直ぐに中止しないである程度様子を見ましょう。
このディフェリンゲルは、軽快後の維持療法にも用いられ再発予防薬としても効果があります。
外用抗菌薬は軽症から中等症の患者に使い、内服抗菌薬は中等度から重症の患者に使用する
アクネ桿菌がニキビを悪化させる大きな要因となっていることから、炎症性皮疹を有する場合はディフェリンに抗菌薬を併用することが推奨されています。
外用薬では、ダラシンT(クリンダマイシンリン酸エステル)、アクアチム(ナジフロキサシン)がよく使われます。どちらも、1日2回洗顔後に塗布します。
内服薬では、ルリッド(ロキシスロマイシン)、ビブラマイシン(ドキシサイクリン塩酸塩水和物)、ミノマイシン(ミノサイクリン塩酸塩)が良く使われています。
また、炎症に対してはスタデルム軟膏やクリーム(イブプロフェンピコノール)、内服薬のブルフェン(イブプロフェン)などのNSAIDsを併用することもあります。
米国でニキビの治療薬として最も評価が高い薬が日本でも発売。ベピオゲルは酸化作用でアクネ桿菌を殺菌
過酸化ベンゾイルはアメリカでは最も評価が高いニキビの治療薬です。日本では2015年にベピオゲルという商品名で保険適応となり発売されています。
欧米ではニキビの原因であるアクネ桿菌の抗菌薬への耐性が大きな問題となり、国によっては50%以上が耐性菌という状態となっているので、かなり期待されています。日本ではまだ、耐性菌は問題になっていないです。
ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)は他の抗菌薬とはちがう作用機序をもつ抗菌作用と角層剥離作用の2つの作用をもっています。ベピオゲルの使用は中等度以上の患者さんに用いられることが推奨されています。
中等度以上で内服抗菌薬が必要となる患者さんではディフェリンゲルと併用します。1日1回洗顔後に使用します。紅色丘疹(赤ニキビ)は1週間くらいの使用で目に見える変化が確認出来る場合もあります。ただし、刺激が強くでる場合がある(使用して直ぐに刺激感や赤斑、乾燥が出やすい)ので米国より低濃度となっています。(米国では5%、10%の市販薬もある。ベピオゲルは2.5%)
また、クリンダマイシンリン酸エステル水和物(ダラシンT)と過酸化ベンゾイルの合剤であるデュアック配合ゲルが発売されています。クリンダマイシンリン酸エステル水和物には抗菌作用の他、抗炎症作用をもつ抗菌薬です。このデュアックに配合されている過酸化ベンゾイルの量は3%と、ベピオゲルより多くなっています。
尋常性痤瘡(ニキビ)の外用薬
- ディフェリンゲル(アダパレン)
[用法] 1日1回、就寝前に洗顔後塗布
[作用機序] 表皮のレチノイン酸受容体と結合して表皮角化細胞の分化を抑制する
[主な副作用] 皮膚乾燥、皮膚不快感、皮膚剥離、紅斑、掻痒感、湿疹
[使用について] 使用開始後に乾燥や紅斑が現れても一時的なことが多いので直ぐに中止しない方が良い - ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)
[用法] 1日1回、洗顔後塗布。塗り忘れた場合は、気が付いたときにできるだけ速く1回分を塗って下さい
[作用機序] 有効成分の分解により生じたフリーラジカルの酸化作用でアクネ桿菌などを殺菌する。また角層剥離作用も有する
[主な副作用] 皮膚剥離、紅斑、刺激感、乾燥
[使用について] 副作用は使用開始1~2週間で生じることが多い。使用部位はできるだけ日光にあてないようにする - デュアック配合ゲル
[用法] 1日1回、洗顔後塗布。塗り忘れた場合は気が付いた時にできるだけ早く1回分を塗って下さい。ただし、次に塗る時間が近い場合は忘れた分は塗らないで、次回の塗る時間に1回分を塗って下さい
[作用機序] ベピオゲルとダラシンTの両方の作用を持つ
[主な副作用] 乾燥、接触性皮膚炎、紅斑、皮膚剥離、掻痒感、発赤
[使用について]12週間で効果が認められなければ中止。できるだけ使用部位に日光に当てない - ダラシンTゲル・ローション(クリンダマイシン)
[用法] 1日2回、洗顔後塗布。塗り忘れた場合は1回とばす
[作用機序] 最近のタンパク質合成を阻害することで抗菌作用を発揮する
[主な副作用] 掻痒感、発赤
[使用について] 4週間使用しても効果がないときは中止する。乾燥肌にはゲル、あぶら性にはローションがよい - アクアチムクリーム・ローション・軟膏(ナジフロキサシン)
[用法] 1日2回、洗顔後塗布。塗り忘れたら1回とばす
[作用機序] 殺菌作用
[主な副作用] 乾燥、接触性皮膚炎、紅斑、皮膚剥離、掻痒感
[使用について] 軟膏は尋常性痤瘡の保険適応がない - スタデルムクリーム・軟膏(イブプロフェンピコノール)
[用法] 1日数回、洗顔後塗布
[作用機序] プロスタグランジンの作用を抑えて抗炎症作用を示す
[主な副作用] 刺激感、熱感、かぶれ
[使用について] 赤ニキビは1週間、ニキビ跡には1ヶ月使用して効果がないときは中止する。軟膏は尋常性痤瘡の保険適応がない
市販で売られているニキビに効果がある漢方薬
ドラックストアなどで売られている漢方薬もあります。下記の漢方薬は、もともと胃腸が弱い人や、下痢、嘔吐の症状が出ている人は服用しないようにしましょう。胃腸障害が出ているときに服用すると、これらの症状が悪化する恐れがあるので注意が必要です。
・清上防風湯・・・比較的体力があって、化膿している赤いニキビに
・荊芥連翹湯・・・体力が中等度前後で皮膚が浅黒い人のニキビに